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【フォーラム通信  2011年10月号】               2011.10.13 発行
現場の問題解決のための実践図書・セミナー
                          http://www.science-forum.co.jp/
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小社のセミナー/書籍情報のメール配信を希望されている方へ配信して
います。                                   NO.587
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《読者の皆様へ ―― 「原子力安全神話」から「放射能安全神話」へ》

 いよいよ厚生労働省が暫定規制値の見直し作業に入りました。
折しも、被曝線量基準の在り方を検討している政府の放射線審議会基本
部会(部会長:甲斐倫明  大分県立看護科学大学教授)は、10月 6日
(木)の第41回会合において一般人の被曝線量上限として定められてい
る年間1ミリシーベルトの緩和を認めました。1〜20ミリシーベルトの間
で「中間目標」の設定が可能との方針で合意し、10月中に提言をまとめ
るとのことです。

これに対し、「課題が多いのは、空間線量よりむしろ食品などによる内
部被ばくの問題をどう位置づけるかだ。厚生労働省が改定を検討してい
るが、作業は難航している。」とのコメントが一部の報道で見られまし
た(2011年10月7日 東京新聞朝刊)。

今後、長期間続くであろう「食物連鎖」を通じた放射能の蓄積が深刻な
問題として浮上してきます。低線量の内部被曝の問題に真正面から取り
組むべき時代を迎えたようです。ただ哀しいことにデータが極めて乏し
い現状です。しかしこれは症例が少ないからでは無く、広島・長崎への
原爆投下後、当時の厚生省が被爆者の診察記録を禁じたことに起因して
いることが、その後明らかになりました(本メールマガジン8月号をご
参照下さい)。

内部被曝の問題を考える時、注意しなければいけないことは自然放射線
と人工放射線を明確に区別することです。これに関し、有名なムラサキ
ツユクサの研究で低線量の放射線でも突然変異を引き起こすことを証明
した市川定夫氏(埼玉大学名誉教授)は自著『環境学』で次のように述
べています。

「「人工放射線も自然放射線も、生物や人体にたいする影響は同じであ
る」との前提は間違いである。人工放射性核種には、生体内で著しく濃
縮されるものが多く、それゆえに大きな体内被曝をもたらすという、自
然放射性核種には見られない特質がある。それはなぜかというと、生物
の進化と適応の過程と密接な関係がある。自然放射線のうち、体内被曝
と、地殻からの体外被曝の大部分はカリウム40である。これは、生物に
とって重要な元素であるから、否応なしに体内に入ってくる。しかしカ
リウムの代謝は早く、どんな生物もカリウム濃度をほぼ一定に保つ機能
を持っているため、カリウム40が体内に蓄積することはない。生物が、
その進化の過程で獲得してきた適応の結果なのである。(中略)

ところが、人類が原子力によって放射性ヨウ素をつくり出すと、進化の
過程で獲得したこうした貴重な適応がたちまち悲しい宿命に一変し、そ
の放射性ヨウ素をどんどん濃縮して、体内から大きな被曝を受けること
になってしまうのである。」

上記の指摘とともに、同氏は本書で「人工放射性核種は、自然界になか
ったものであるため、生物をあざむき、生物が長大な進化の過程で築き
上げてきた貴重な性質が、たちまち悲しい宿命に一変するのである。
そして、このことこそが原子力の最大の問題である。」と強く訴えてい
ます。

  私たちはこれまで、様々な機会に下記に類した言葉を「専門家」から
聞かされました。

「この数値であれば1年間食べ続けても安全」

「僅かな被曝でも発がんリスクは増加するかもしれないが、飲酒や喫煙、
運動不足などのリスクよりはるかに小さい。」

「この程度の汚染濃度であれば、内部被曝量は胸部レンゲン検査の○○
分の1、飛行機に○時間乗ったときの被曝量とほぼ同程度に過ぎない。」

ご承知の通り、人が何かの主張や判断をする際、その前提条件、寄って
立つ規準が必ず存在します。浅学非才の私でも、上記の専門家の発言の
根拠が国際放射線防護委員会(ICRP)の規準にあることが理解できます。

これについて、矢ヶ崎克馬氏(琉球大学名誉教授)は「国際放射線防
御委員会の規準では吸収線量を、被曝した微小領域で本来規定すべき
であるが、臓器当たりの平均量で評価することを規準とすると宣言し
ています。この方法は内部被曝を科学的に評価できるものでは無く、
恐ろしく過小評価するものです。」と指摘しています。詳しくは矢ヶ
崎氏の下記文献をご参照戴ければ幸いです。
        http://www.cadu-jp.org/data/yagasaki-file01.pdf

ICRPの規準の適否は読者の皆様のご判断に委ねたいと存じます。私が
伝えたいのは「前提条件を疑う」ことの大切さです。ホンダの創業者
として著名な本田宗一郎氏の数々の名言の一つに「常識ってのは、人
間が考えたことだ。それを疑って、打ち破っていくのが進歩なんだね。
」との言葉があります。

前提条件を疑うこと、それがまさに創造の出発点だ、という訳です。
生意気に言わせて戴ければ、“科学の原点”と置き換えてもよいの
かも知れません。

一方、リスク管理の要諦が

(1) 全体像をつかむ、
(2) 前提条件を疑う、
(3) 最悪を想定する、

の3点にあることは、リスクマネジメントを学習された方には
自明のことと思われます。

さらに、問題の究明を阻害する要因として私たち日本人特有の“ムラ
意識”も関係しているように思われます。これに関し、今回の震災後
に「子どもたちを放射線から守る全国小児科医ネットワーク」を立ち
上げた山田  真氏(八王子中央診療所所長)は自身の体験を次のよう
に語っています。

「私が六月にネットワークを立ち上げようとした時、昔からの友人た
ちに電話をかけても、放射能についての影響はわからないのだから、
騒ぎすぎだという反応もありました。そこで生活できなくなる人が
何万、何十万という単位で出てくるかもしれないような大規模な放射
能の被害について、あまりにも想像力が欠けている。このような反応
に接し、私は、日本では「放射能安全教育」のようなものが、かなり
徹底しているように感じました。」
                         (月刊誌「世界」2011年11月号85頁)
  
さらに山田氏は同誌で「福島での原発事故が起きて、「原子力安全
神話」は崩壊しましたが、今度は「放射能安全神話」というものが
作られているように思います。放射能を多少、浴びても健康には何
ら影響はない、そう言わないと原発が存続できないからでしょう。」
と指摘しています。まさに正鵠を得た言葉だと思います。

  食品産業のための最善の判断指針を求めて、小社ではこの12月に
「内部被曝の最新知見と食品の放射能汚染の実態」および「風評被
害を抑える情報の伝え方」の2つの研修会を開催致します。

もとより一度の開催で問題の本質が解明されるとは思いません。
変化する社会情勢を背景に、12月時点で得られる最新の知見とデー
タにもとづき様々な立場から解説をして戴き、それぞれのスタンス
を浮き彫りにすることによって、国民を守るための真に業界の指針
となる規準に一歩近づくことが出来るものと確信しています。
皆様方の積極的なご参加と意見交流を心から期待する次第です。
                                                     
                                 代表取締役社長    元山  裕孝
■  INDEX ───────────────────────────
┣【1】最新刊のご案内
┃       「低温流通食品管理の鉄則」
┣【2】10〜12月開催のセミナーのご案内     
┃    ■ 分かりやすい食品微生物の基礎と正確な検査の方法を学ぶ
┃    ■ おいしい低塩・減塩食品を求めて  
┃    ■ おいしさと鮮度を追求した冷凍・解凍技術の最新ソリュー
┃         ション
┃    ■ 食品異物対策シンポジウム[東京2011]
┃    ■ 除染食品開発フォーラム
┃    ■ 消費者への食品安全の伝え方[第2回]
┃         風評被害を抑える情報の伝え方
┃    ■ 内部被曝の最新知見と食品の放射能汚染の実態
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【1】  最新刊のご案内
「低温流通食品管理の鉄則」 2011年8月10日発刊いたしました。
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詳しい情報・お申し込みはこちらをご覧くださいませ。↓
http://www.science-forum.co.jp/books/0320.htm
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>>>本書の特色>>>
低温流通に関する技術は食材や食品の時空を制御するという進展を
遂げてきましたが、他方、不的確な低温制御により大きな事故に繋が
るため、個々の段階で食品の特性を踏まえた適切な温度コントロール
が求められています。

東日本大震災のような異常時をも想定したフードチェーンにおける
低温流通管理に関するハード・ソフト両面の知見、特に日常的に
業務遂行するうえで必要な鉄則をそれぞれの専門家が多角的に解説
いたしました。
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パンフレットのダウンロードはこちらです ↓
http://www.science-forum.co.jp/bookpdf/0320/0320.pdf
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【2】10〜12月開催のセミナーのご案内  
★ホームページからのお申し込みは定価の【5%引】です★
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▼ おいしい低塩・減塩食品を求めて
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【開催日】 2011年10月20日(木)10:00-16:30
【会  場】 飯田橋レインボービル
【受講料】 定価 39,900円(税込)web価格 37,905円(税込)
【定  員】 60名

⇒ 詳細・お申込はこちらから↓
http://www.science-forum.co.jp/seminar/91125.htm
⇒ パンフレットのダウンロードはこちらから↓
http://www.science-forum.co.jp/seminar/print/2011/91125.pdf

◆ プログラム
1. ”しお味”の味覚メカニズムの解明と商品開発のヒント
2. ”しお味”増強物質の探索と製品応用の最新状況
 2.1 減塩食品用調味料「ソルテイスト」による低温・減塩技術
 2.2 減塩食品の課題とその対策
3. 低塩・減塩食品開発の実際
 3.1 減塩でパンを作る
 3.2 食酢の減塩効果
4. パネル討論&総合質疑
「低塩・減塩食品の市場展開とおいしさ向上の課題を探る」
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▼ おいしさと鮮度を追求した冷凍・解凍技術の最新ソリューション
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【開催日】 2011年10月27日(木)10:00-16:20
【会  場】 飯田橋レインボービル2F(中会議室)
【受講料】 定価 39,900円(税込)web価格 37,905円(税込)
【定  員】 60名

⇒ 詳細・お申込はこちらから↓
http://www.science-forum.co.jp/seminar/91110.htm
⇒ パンフレットのダウンロードはこちらから↓
http://www.science-forum.co.jp/seminar/print/2011/91110.pdf

◆ プログラム
1.[特別講演]これからの冷凍技術に期待されるもの
2. 冷凍により食品は本当にダメージを受けるのか?
     〜これまでの誤解を解く〜
3. 天使の海老−美味と品質を極めた新たな食ビジネスの創造
4. おいしさと鮮度を追求した技術開発の到達点
 4.1 高周波誘電加熱による解凍装置
 4.2 光ヒーターシステムによる「凍ったままグリル」
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▼ 食品異物対策シンポジウム[東京2011]
     見えない異物:放射能汚染への対応と原料由来異物・夾雑物
     混入防止対策
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【開催日】 2011年11月11日(金)9:55-16:55
【会  場】 家の光会館「コンベンションホール」
【受講料】 定価 29,400円(税込) web価格 27,930円(税込)
【定  員】100名

⇒ 詳細・お申込はこちらから↓
http://www.science-forum.co.jp/seminar/91124.htm
⇒ パンフレットのダウンロードはこちらから↓
http://www.science-forum.co.jp/seminar/print/2011/91124.pdf

◆ プログラム
[特別講演1]   食品企業は原発事故にどう立ち向かうべきか
[特別講演2]   海外の生産委託工場の現状と新たな課題
[パネル討議]  原料由来異物・夾雑物の混入防止対策の仕組み作り
   第1部      パネリストのよるプレゼンテーション
   第2部      [意見交換&質疑応答]
                管理システムを現場に定着させるために
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▼ 除染食品開発フォーラム
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【開催日】 2011年11月25(金)10:00-17:00
【会  場】 飯田橋レインボービル「C・D会議室」
【受講料】定価 39,900円(税込) web価格 37,905円(税込)
【定  員】60名

⇒ 詳細・お申込はこちらから↓
http://www.science-forum.co.jp/seminar/91126.htm
⇒ パンフレットのダウンロードはこちらから↓
http://www.science-forum.co.jp/seminar/print/2011/91126.pdf

◆ 講座の狙い
本フォーラムのコーディネータ 八並一寿先生(玉川大学農学部生命
化学科准教授)は、「除染食品」開発の必要性を提唱され、近時い
くつかのメディアで持論を発表されています。

その一つ、「今後期待される除染食品の開発と原発事故による環境
への放射能汚染」(FOOD Style21,2011年6月号)によれば、除染食
品は、
1. 原料の生産段階や製造段階で適応可能な「除染処理食品」
2. サプリメント・一般食品・飲料への配合・添加が可能な「除染
   機能食品」
3. 被曝に強い体質とすることが期待される「除染強化食品」
4. 体外排泄を補助する「除染補助食品」

の4つに分類され、それぞれの除染の機序、適当な素材、食品例が
整理されています。

本フォーラムは「除染食品」の提唱者 八並先生の基調講演を基軸
に、その呼びかけに応える専門家の先生方に放射線防御の最新知見
を詳細に発表して戴く画期的な催しです。

◆ プログラム
1. 除染食品の開発戦略と実現課題
2. 放射線の生体影響と被ばく低減化をめぐる最近の動向
3. β-グルカンとフラボノイドによる放射線防御
4. ペクチンを中心とした放射線防御
5. 味噌による放射線防御作用
6.[課題討議]除染食品はどうあるべきか
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▼ 消費者への食品安全の伝え方[第2回] 
           風評被害を抑える情報の伝え方
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【開催日】 2011年12月 8日(木)10:30-16:40
【会  場】 飯田橋レインボービル「C・D会議室」
【受講料】 定価 37,800円(税込) web価格 35,910円(税込)
【定  員】 60名

⇒ 詳細・お申込はこちらから↓
http://www.science-forum.co.jp/seminar/91127.htm
⇒ パンフレットのダウンロードはこちらから↓
http://www.science-forum.co.jp/seminar/print/2011/91127.pdf

◆ プログラム
1. 取材の最前線から見た正しいリスクの伝え方
2. 風評被害のメカニズムと現在の課題を考える
3. 風評被害を防止する”見える化”戦略とは
4. [実践に役立つ情報交換会]
     分かりやすい危害情報の伝え方とはどのようなものか
 ─ 東京電力、原子力安全・保安院の記者会見の問題点を基軸に ─
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▼ 内部被曝の最新知見と食品の放射能汚染の実態
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【開催日】 2011年12月16日(金)10:00-16:30
【会  場】 家の光会館 「コンベンションホール」
【受講料】 定価 29,400円(税込) web価格 27,930円(税込)
【定  員】 100名

⇒ 詳細・お申込はこちらから↓
http://www.science-forum.co.jp/seminar/91128.htm
⇒ パンフレットのダウンロードはこちらから↓
http://www.science-forum.co.jp/seminar/print/2011/91128.pdf

◆ プログラム
1. 放射能の内部被曝による人体影響の最近の知見
2. 農畜産物の放射性汚染物質の実態と内部被曝の防護法
3. 魚介類の放射性物質汚染の実態
4. 飲用水の自然環境と放射能汚染
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その際はお客様no.もお知らせいただきますと幸甚です。
(このメールへの返信には、配信停止・ご返答が出来ませんので
ご注意ください)
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