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【サイエンスフォーラム通信   2012年12月号】   2012.12.05  発行
現場の問題解決のための実践図書・セミナー
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≪読者の皆様へ――リステリアおよび“真の消費者”≫
 
年の終わり、師走。今年も様々な出来事が去来し、確実に何かを失い、
そして今ここにいます。時代が静かに変わろうとしています。
 
●1.リステリアに注目!

先週(11月29日)、食品安全委員会微生物・ウイルス専門調査会の
第36回会合が開かれ、ついに評価書(案)のたたき台が示されました。
ご承知の通り、昨年の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産
部会での審議結果にもとづき、食品中のリステリア・モノサイトゲネス
に係る食品健康影響評価を食品安全委員会に要請し、本年1月より検討
が進められてきました。厚生労働省はその結果を踏まえ、リステリアの
規格基準を設定する予定です。

審議の結果、喫食時のリステリアの摂取菌量の基準を設定するために
参考となりそうな値をどの程度とするかについて引き続き検討をする
ことになり、次回までに事務局が評価書(案)を作成することになり
ました。いよいよ年度内には全貌が示されるものと思われます。

これまで、わが国においてはリステリア症発生の際の報告が義務化され
ておらず、発生率についての正式な統計がありません。しかし、厚生労
働省の研究班による病院への聞き取り調査の結果、毎年約83件のリステ
リア症が発生していると推計されています。(東京海洋大学 高橋 肇
:非加熱喫食水産食品におけるリステリア菌の分布状況とその増殖抑制
法FFI JOURNAL Vol.217,No.2,2012)
 
前記のたたき台でも、わが国における家畜、家きん及びヒト等のリステ
リアの検出状況、食品加工段階での汚染実態、国内で流通している食品
の食品群別検出データ、流通食品から検出されるリステリアの血清型が
明らかにされています。

リステリア症は一般的な食中毒の症状に比べて重篤であり、重症化する
と致死率が高いと言われています。リステリアはバイオフィルムを形成
しやすく、4℃以下の低温でも増殖可能なため、わが国の食品衛生対策の
柱とも言える低温保存・低温流通ではリステリアを制御することが出来
ないことが最も深刻です。(大阪市立環境科学研究所 中村寛海:食品
製造施設へのリステリアの定着に寄与するバイオフィルムの解析、浦上
財団研究報告書 Vol.18,2011、ほか)

2013年は、どうやらリステリアの話題に目が離せそうにありません。

●2.“真の消費者代表”とは?

微生物・ウイルス専門調査会の丁度1週間前(11月22日)、消費者庁
「新食品表示制度についての意見交換会」が阿南長官立会いのもと開か
れました。

当日の概要はFOOCOMのホームページで詳しく報告されていますので、
ご存じの方も多いかと存じます。その日の朝刊で、前日までの阿南長官
への取材にもとづき毎日新聞が「加工食品:原産地表示義務化、拡大へ」
と大きく報道したことから、意見交換会の多くの発表者から消費者庁の
姿勢に対し厳しい批判が相次ぎました。

中でもFOOCOM 森田満樹氏の「事務局の説明では、報告書の内容を踏ま
えて新法の法案が考えられているとは思えない。これまでの検討会での
議論は一体何だったのか?新聞で報道された消費者庁の方針は検討会の
議論を全くくつがえすもので、まさに”ちゃぶ台返し”。このようなや
り方は検討会そのもの、ひいては消費者庁の信頼をくつがえすことにな
る。」との強い抗議が、多くの発表者の声を代弁していました。

しかし、何よりも私が「おやっ?」と思ったのは、何人かの発表者から
「検討会の場は真の消費者代表によって組織されるべき」「検討会の場
には真の消費者代表および積極的に実践している事業者を委員として選
出すること」など、”真の消費者代表”の言葉が度々発せられたことで
す。

言うまでもなくこの発言は「自分たちこそ真の消費者代表であり、一元
化検討会でわれわれを排除し、事業者寄りの意見に重きを置いた報告書
は消費者の声を全く無視したもの」という主張です。はたしてそうでし
ょうか。

食品表示一元化検討会には、主婦連合会を始め多くの消費者団体が委員
として参画していました。私は可能な限り検討会を傍聴しましたが、視
点の違いこそあれ誰一人事業者に迎合した発言はなく、事務局の進め方
にはかなり疑問を感じましたが、それでも一応行政の手続きに従い意見
の集約がなされ、報告書が作成されました。また検討会の中では一度と
して「真の消費者代表」の言葉を聞いたことはありませんでした。それ
だけに、上記の言葉が強く印象に残った次第です。

意見交換会でこの言葉を発したのは「遺伝子組み換え食品いらない!
キャンペーン」と「食品表示を考える市民ネットワーク」という消費者
団体です。しかしそれ以外にも「我こそは消費者代表」と言いたげな
発言が伝統的な消費者団体である新日婦人の会、日本消費者連盟、
生活クラブ事業連合などからありました。「遺伝子組み換え食品いらな
い!」と「市民ネットワーク」は、いずれも事務局が日本消費者連盟の
中にあります。

自らの正統性の主張は、あたかも旧世代の生き残りを賭けた必死の叫び
に聞こえました。
 
当然ながら、何人かの委員から即座に反論がありました。

・「事業者寄りの市民団体との発言があったが、21世紀はこれまでの
   ように消費者と事業者 を対峙させるような関係ではなく、両者が
   肩を並べて一緒に課題を検討していく時代で はないのか。」

・「”真の消費者”という言い方はおかしい。消費者と事業者を対立
   させ、多様な立場を排 除するような議論には反対する。」

・「”真の消費者”という議論はあまりにも不毛。もうそろそろ止め
   にしたらどうか。」

思えば、1948年に結成され1960年の「にせ牛缶事件」への抗議行動を
通して「不当景品類及び不当表示防止法」立法の契機を作った主婦連
合会、1969年に創立委員会を結成し71年には気鋭の消費者運動家で青
年弁護士のラルフ・ネーダー氏を逸早く米国から招へいするなど意欲
的な活動を展開した日本消費者連盟・・・このほかにも消費者の被害
救済と権利獲得のために闘ってきた多くの消費者団体が存在します。

時が移り2006年、「科学的な視点からの実りあるコミュニケーション
のあり方を探る」ことを謳う「食のコミュニケーション円卓会議」が
結成され、2011年、「新たなウェブ媒体を通して、科学的根拠に基づ
く情報提供」を目指す「Food Communication Compass」が活動をスタ
ートさせました。

この両者は一例ですが、旧来の対立型から、科学的根拠にもとづき
互いの一致点を見出し連携して問題解決を図ろうとする“コラボ型”
へ、行動様式が変わりつつあるようです。
 
言うまでもなく、“真の消費者”が存在しないように、誰一人“真の
消費者代表”を謳うことは出来ません。「仮想敵」が極めて不鮮明な
現代、消費者の意識・階層は多様であり、人々は拡散し、誰かに統合
されることを決して好みません。所詮は或るグループのリーダーに過
ぎないのです。これらが、事業者にとり消費者対応の難しさの所以で
もあります。

時代錯誤とも言える“真の消費者代表”の発言は、妬み以外の何物で
もないことを思い知るべきです。
 
閑話休題。目下、ガラス片混入に伴うK社の商品回収が大きく報道さ
れています。事態発生後速やかに回収と原因究明を行い、2週間以前
に3報に及ぶ中間報告を発表し情報開示に努める同社の姿勢が評価さ
れています。無事な収束を祈るばかりです。
 
ご承知の通り食品回収が連日繰り返されています。その態様は様々
であり、問題解決の手法も一様ではありません。実態を掘り下げ、
有効な回収の判断基準、告知方法を探るため、弊社では来月(1月)、
食品産業戦略研究所主催の特別研修会「食品リコールの問題点とあ
るべき姿」を開催致します。是非ご参加を戴きたく、以下にご案内
申し上げる次第です。
 
最後になりますが、今年もいよいよ残り少なくなりました。皆様、
どうぞ良い年をお迎え下さい。益々のご健勝をお祈り致しており
ます。

                   代表取締役社長  元山 裕孝
■  INDEX ───────────────────────────
【1】12月〜2013.1月 開催のセミナーのご案内

┠■ 食品工場における化学洗浄実践スキル★改善ポイント発見講座★
┠■ 食品リコールの問題点とあるべき姿
┠■ 食品の無菌包装システム2013

【2】復刻本のセールスランキング (9月〜11月)のご紹介
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【受講料】定価 37,800円(税込)→ web価格 35,910円(税込)
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http://www.science-forum.co.jp/seminar/91227.htm
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http://www.science-forum.co.jp/seminar/print/2012/91227.pdf
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▼  食品リコールの問題点とあるべき姿
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【開催日】2013年1月23日(水)   10:00 〜 16:20
【会  場】飯田橋レインボービル1F C+D会議室
【受講料】定価 39,900円(税込)→ web価格 37,905円(税込)
【定  員】60名

⇒ 詳細・お申し込みはこちらから↓
http://www.science-forum.co.jp/seminar/91301.htm
⇒パンフレットのダウンロードはこちらから↓
http://www.science-forum.co.jp/seminar/print/2013/91301.pdf
▼  食品の無菌包装システム2013
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【開催日】2013年1月29日(火)     10:05 〜 16:45
【会  場】飯田橋レインボービル2F 中会議室
【受講料】定価 39,900円(税込)→ web価格 37,905円(税込)
【定  員】60名

⇒ 詳細・お申し込みはこちらから↓
http://www.science-forum.co.jp/seminar/91302.htm
⇒パンフレットのダウンロードはこちらから↓
http://www.science-forum.co.jp/seminar/print/2013/91302.pdf
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